【簿記3級で出題】減価償却とは?しっかり覚えて対策しよう

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どーも、ききです。

今回は簿記3級で出題される「減価償却」について解説します。

減価償却って言葉は聞いた事あるけど、良く分からないなぁ

初めて簿記に触れる方にとっては、前回の「貸倒引当金」に続いて鬼門になる項目になるかと思います。

減価償却の問題もほぼ毎回出題されるので、理解の有無で合格に関わってきます。

今回も出来るだけ分かりやすく解説していくので、是非参考にしてみて下さい。

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減価償却とは

減価償却とは設備投資などの費用を一定期間に配分する会計処理のことです。税務に関しては、法人に限り一定の条件下で、任意償却が可能です。ただし、企業会計では認められていません。

引用:経営課題を解決する羅針盤

簡単に説明すると、例えば車など新車で購入して少しでも乗った時点で中古になります。

その新車から中古になるまでの過程では少なからず新車の状態より価値が下がってきますが、その事を「減価償却」といいます。

車に限った話ではなく、会社で使うコピー機や会社の建物そのものも、日に日に劣化していくので、その都度購入時の状態から減価償却をして価値を決めなくてはいけません。

この車はもう壊れるまで乗るから、絶対に手放さないゾ

個人で購入などはいちいち減価償却などする必要ないですが、会社の経費で購入しているものは、減価償却をしないと常に新品のものを使っている事になり、経理の帳簿上の金額が変動しません。

その状態で例えば売却する時に買ったままの価格で売ることは出来ないので、減価償却をして現在の価値をある程度決めておく必要があります。

現実的には車などは走行距離によって変動しますが、簿記3級で学習する範囲では毎年毎月決まった金額が減価償却される「定額法」と呼ばれる計算方法で算出していきます。

ちなみに、土地は時間の経過で価値が下がるものではないので、減価償却しません。

減価償却の算出方法

減価償却する備品や車を取得した時期によって、減価償却費の算出方法が異なります。

期首に取得した場合

次の備品の減価償却費を定額法によって求めよ(取得日4月1日、取得原価12,000円、耐用年数10年、残存価額…取得原価の10%)なお、当期は3月31日が決算日である。

まず、耐用年数とは、こちらの問題では10年と記載がありますが、これは10年間は使用可能という事を指しています。

使用状況によっては早まったりそれ以上に使用出来ると思いますが、簿記3級の試験ではとりあえず10年使ったら使用出来ないとします。

残存価額とは、耐用年数の10年が経過した時の価値を表しており、問題では取得原価の10%とあるので、12,000×0.1=1,200円が残存価額となります。

つまり、10年後の価値は12,000円から1,200円になるという事です。

10年後に1,200円になるまでの差額(12,000-1200)は10,800円となり、定額法ではこの金額を20年で償却することになります。

したがって、

10,800÷20=540

このようになり、この540円が1年あたりの減価償却費となります。

期中で取得した場合

次の備品の減価償却費を定額法によって求めよ(取得日10月1日、取得原価12,000円、耐用年数10年、残存価額…取得原価の10%)なお、当期は3月31日が決算日である。

期首で取得した場合と数値は同じなので、減価償却費の金額自体は同じ540円です。

こちらは取得日が異なり、こちらは期中(問題では6ヶ月目)に取得した場合になりますが、元々求めていた540円の減価償却費は1年分の金額なので、それを月割りして求めていきます。

540÷12=45

この45円は1ヶ月あたりの減価償却費となるので、10月から3月までの6ヶ月分を掛けると

45×6=270

この270円が10月から3月までの6ヶ月分の減価償却費となります。

間接法について

間接法は固定資産から直接減価償却費を減らすのではなく、借方科目に「減価償却費」を、貸方科目に「減価償却累計額」を記入します。 貸方には決算期間(1年間)の償却額の合計を記入するという方法です。

引用:Adecco

間接法って聞くと難しく感じるかもしれませんが、直接減らすのではなく「減価償却累計額」という勘定科目を使用して間接的に減価償却をする事です(余計分からん

決算の時に貸借対照表に備品などの金額を記入する際に、最初の取得原価とその下に減価償却累計額を記載し、取得原価から差し引く事で簿価を記載し計算します。

つまり、取得原価も減価償却累計額も差し引いた簿価も全て記載する事で直接取得原価から差し引くのではなく、間接的にこれだけの価値になった事を証明も含め表示する事となります。

要は別の名前で言い換えて勘定するという事です。

簿記3級の範囲ではありませんが、簿記2級では「間接法」ではなく「直接法」という勘定で求める場合がありますが、例えば備品を100円で購入すると

備品100/現金100

このような仕分になり、これを10円減価償却すると

減価償却費10/備品減価償却累計額10

このようになります。これが間接法です。

決算時に備品取得原価から減価償却累計額を差し引いて

100-10=90円

一方、直接法で同じように減価償却すると

減価償却費10/備品10

直接減価償却する勘定を指定するので、減価償却後の備品の価値は

100-10=90円

となります。

結果同じ事になりますが、正直直接法の方が分かりやすいと思います(文字通り直接減価償却するので)

昔は直接法で出題された事もあるみたいですが、現状は全て間接法なので、簿記3級の受験に関してはとりあえず間接法だけ覚えておけば問題ありません。

減価償却累計額は文字通り累計額なので、減価償却費の累計額となり、算出したい時期の減価償却費自体と金額自体は同じになります。

仕訳は

減価償却費/減価償却累計額

このように仕訳をして、決算時に貸借対照表と損益計算書に記載していきます。

ここまでよく分からなくても、次に具体的に問題を解きながら説明します。

期首に取得した場合

決算につき、次の備品の減価償却を行います(取得日:4月1日、取得原価:12,000円、耐用年数:10年、残存価額:取得原価の10%、定額法、間接法)当期の決算日は3月31日です。

問題自体は前の項目と同じなので、減価償却費は540円です。

そして、仕訳は

減価償却費540/減価償却累計額540

このようになります。

1年分の減価償却費が540円で累計額も同じ1年なので540円です。2年目の決算時は減価償却費は同じ540円ですが、累計額は1年分と足した1,080円となります。

しかし、2年目の仕訳も同じ

減価償却費540/減価償却累計額540

となります。

あくまでも仕訳は当期分の仕訳なので、去年より前の減価償却累計額はT勘定にて前期繰越分の540円と当期の減価償却費540円を足した1,080円が次期繰越分になります。

したがって、この減価償却累計額を貸借対照表に記載して簿価を求めていきます。

期中で取得した場合

決算につき、次の備品の減価償却を行います(取得日:10月1日、取得原価:12,000円、耐用年数:10年、残存価額:取得原価の10%、定額法、間接法)当期は3月31日が決算日です。

この問題も前の問題と金額は同じで、6ヶ月分なので減価償却費は270円と、そこまでの累計額は同額なので

減価償却費270/減価償却累計額270

このようになります。

売却時の仕訳

ここまでは、決算に向けて減価償却を計算して備品などの価値を算出しましたが、実際に売却した場合はどのような仕訳になるか、確認してみましょう。

期首に売却した場合

当期首に、備品(取得原価:12,000円、期首減価償却累計額:10,000円、記帳方法:間接法)を1,000円で売却し、代金は後日受け取ることにしました。

まず、備品を売却とあるので、貸方に最初に購入した取得原価のまま備品が来ます。

借方は、ここまでの減価償却累計額を記入する事で、売却時点での備品の価値を算出し仕訳する事になります。

減価償却累計額10,000/備品12,000

また売却した際の代金もこちらが受け取る事になるので、借方に記載すると

減価償却累計額10,000、未収入金1,000/備品12,000

差額が1,000円ありますが、これが「固定資産売却損」という勘定となり、費用勘定として借方に記載します。すると

減価償却累計額10,000、未収入金1,000、固定資産売却損1,000/備品12,000

このようになり、左右の金額が一致します。

逆に差額がプラスになる場合は「固定資産売却益」となり収益になります。したがって固定資産売却益は貸方に記入します。

期中に売却した場合

期中に、備品(取得原価:12,000円、期首減価償却累計額:9,000円、期首から売却日までの減価償却費:1,000円、間接法で記帳)を1,000円で売却し、代金は現金で受け取りました。

期中に売却した場合も基本的には期首に売却した時と同じ仕訳ですが、期首から期中までの減価償却費を別に借方に記載する必要があります。

したがって

減価償却累計額9,000、減価償却費1,000、未収入金1,000、固定資産売却損1,000/備品12,000

このようになります。

減価償却費や減価償却累計額の記載がない場合

2年8月1日に取得した備品(取得原価120,000円、残存価額10%、耐用年数10年、間接法で記帳)を、5年5月31日に60,000円で売却し、売却代金は月末に受け取ることにしました(決算日は6年3月31日であり、取得年度および売却年度の減価償却費は月割りで計算します。また、当期の減価償却費は減価償却累計額を経由せずに直接計上して下さい)

一応今回の記事のボスはこの問題となります。

このような問題は当期以前の減価償却累計額と当期の減価償却費を分けて考えます。

まず1ヶ月分の減価償却費を計算すると

120,000×0.9÷10÷12=900円

となります。

2年は8月〜3月分の8ヶ月なので

900×8=7,200円

3、4年度分はそれぞれ1年丸々含まれているので、

900×12=10,800円。2年分で10,800×2=21,600円

となります。

ここまでの合計値が減価償却累計額となるので、

7,200+21,600=28,800円

となります。

当期は2ヶ月分の900×2=1,800円が減価償却費となり、減価償却累計額と未収入金60,000円を足すと

28,800+1,800+60,000=90,600円

となります。

ここまでの合計値を借方に記載し、貸方は備品の取得原価を記載すると

減価償却累計額28,800、減価償却費1,800、未収入金60,000/備品120,000

このようになり、両辺の差額29,400円が固定資産売却損となります。

減価償却累計額28,800、減価償却費1,800、未収入金60,000、固定資産売却損29,400/備品120,000

まとめ

減価償却関係は最初は難しく感じますが、解き方が分かれば意外にすんなり解ける問題でもあります。

分からない事があればコメントやDMなどでご連絡下さい。

また、簿記3級の学習が進んで自信のある方は当ブログで作成した仕訳問題に挑戦してみて下さい。

本試験レベルなので少し難しいですが、試験前の力試しにどうぞご利用下さい。

今回はこの辺で…

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