どーも、ききです。
今回は簿記3級で出題される「貸倒引当金」について解説します。
始めて簿記に触れた人にとっては最初の壁かと思いますし、「貸倒引当金繰入」「貸倒損失」など類似した言葉も多く出題されます。
他のサイトや動画などでも星の数ほど解説されていますが、こちらでは貸倒引当金という難しい言葉を出来るだけ誰でも分かりやすく解説しますので、是非参考にしてみて下さい。
そもそも貸倒引当金って何
貸倒引当金は、金銭債権の貸倒見積高を計上することにより生じる引当金である。貸方に計上される勘定であるが、貸借対照表上は評価勘定として資産から控除される形で表示される。つまり勘定科目では資産のマイナスを意味する。
引用:Wikipedia|貸倒引当金
なんか、訳分からないかもしれませんが、簡単に説明すると、
潰れそうな会社に対して、潰れるのを見越して掛け代金が返ってこない前提で設定する金額
やや不謹慎ではありますが、今やどんな一流企業でも不祥事一つで経営が急降下します。
もっと身近な例で例えると
今月遊びすぎて金ねぇ…やべぇな…ちょっと1,000円貸してくんない?いいだろ?あ?
あまり貸したくないですが、友達にお金貸す際に、最悪返ってこない恐れもあります。
…こいつに貸したら返ってこない気がするけど、貸さないと何されるか分からない…家賃の支払いもあるし500円は返ってこなかった時のために残しておこう…
極端な例かもしれませんが、最悪の状況を少しでも和らげるための一種の保険のようなものだと考えてもらえたらいいと思います。
また、貸倒引当金は決算時におおよその見積もり額を計上して設定します。
例えば、
売掛金2,000円に対して2%の貸倒引当金を設定する。
このような場合、純粋に2,000円の2%を貸倒引当金にするので
2,000×0.02=40
となり、貸倒引当金は40円となります。
貸倒引当金関係の勘定科目
貸倒引当金勘定には、貸倒引当金以外に
- 貸倒損失
- 貸倒引当金繰入
- 貸倒引当金戻入
この4種類あります。それぞれ、どのようなものか説明します。
貸倒損失
貸倒損失は貸倒が発生し、そのまま損失として費用計上する科目です。
A社が倒産したため、前期売掛金2,000円が回収出来ないので、貸倒損失として計上する。
このような場合に、貸倒引当金を設定していないと2,000円丸々損失という事になり、貸倒損失として計上します。
仕訳は
貸倒損失2,000/売掛金2,000
このようになります。貸倒損失は費用勘定として借方となります。
A社が倒産したため、前期売掛金2,000円が回収出来ないので、適切な計上に行う。貸倒引当金は1,000円である。
この場合、貸倒引当金が設定されているので貸倒引当金で対応出来る部分は貸倒引当金で対応して、不足分を貸倒損失とします。
貸倒引当金1,000、貸倒損失1,000/売掛金2,000
A社が倒産したため、当期売掛金2,000円が回収出来ないので、適切な計上に行う。貸倒引当金は1,000円である。
この問題は、先程の問題とどこが違うかというと、発生した売掛金が前期分なのか当期分なのかが異なります。
そのため、貸倒引当金の残高があってもそれは使用出来ない事になるので、この問題の仕訳は
貸倒損失2,000/売掛金2,000
このようになります。
貸倒引当金繰入
貸倒引当金繰入は、設定した貸倒引当金より貸倒引当金残高が少ない場合に繰り入れるために使用する勘定科目です。
簡単に説明すると
130円のジュースを買いに行こうと財布を見たら100円しか入ってなかったから、30円追加して財布に入れていこうかな
要は足りない分を補充すると覚えておけば問題ありません。
この貸倒引当金繰入は費用勘定でこのように仕訳をします。
貸倒引当金繰入(費用)/貸倒引当金(負債)
また、簿記3級では差額補充法が出題範囲になっていますが、この差額補充法は文字通り差額を補充する事です。
具体的な問題として
売掛金1,000円に対して2%の貸倒引当金を設定する。なお、貸倒引当金残高は10円あり、差額補充法を適用する。
まず、貸倒引当金の設定額ですが、
1,000×0.02=20円
となります。
次に貸倒引当金残高は10円という事で、差額が10円あります。
貸倒引当金繰入はこの差額を補充する事で、設定額に合わせる勘定科目となるので、仕訳は
貸倒引当金繰入10/貸倒引当金10
このようになります。
貸倒引当金戻入
貸倒引当金戻入は、貸倒引当金繰入の逆で、設定した貸倒引当金より貸倒引当金残高が多い場合に戻し入れる場合に使用する勘定科目です。
コンビニでジュースを買おうと財布の中を見たら200円入っていたけど、嫁と一緒だと余計なものまで買ってしまうから70円は置いて行こうかな…
貸倒引当金額を設定時点で、それ以上もそれ以下もなく設定額丁度に合わせていきます。(重要)
この貸倒引当金戻入を仕訳すると
貸倒引当金(負債)/貸倒引当金戻入(収益)
繰入と逆の仕訳となります。
多かった分を差し引くので、決算時に貸倒引当金の残高から減らす必要があり、借方に貸倒引当金がきて、貸倒引当金戻入は収益勘定となるので、貸方にきます。
例文として
売掛金1,000円に対して2%の貸倒引当金を設定する。なお、貸倒引当金残高は30円あり、差額補充法を適用する。
先程の問題とは逆で、貸倒引当金残高が設定額より多いので、減らす必要があります。したがって仕訳は
貸倒引当金10/貸倒引当金戻入10
このようになります。
余談ですが、自分の良くやらかしたミスとして、この貸倒引当金繰入や戻入を計算した後で貸倒引当金残高と参照して設定額に合わせなければいけない所を、そのまま仕分けした金額を精算表などに書いて計算が合わない、なんて事が良くありました。
自分だけかもしれませんが、貸倒引当金を設定したらその金額に合わせる事を忘れないようにしましょう。
貸倒損失が戻ってきた時の仕訳
倒産した時など、貸倒引当金を充てるか貸倒損失にするかはその時に判断して仕訳をしますが、この損失分が返ってくる事もあります。
前に金貸したあいつ見つけたゾ。あのやろー。あの時の金を返してもらうか。
この場合の仕訳は2パターンあり、それぞれ簿記3級で出題される範囲なので押さえておきましょう。
貸倒損失を計上した期に返金があった場合
10月にA社が倒産して、売掛金を回収出来ないと判断してこちらの仕訳を行った。
貸倒損失100/売掛金100
ところが、その年の12月に貸倒損失で計上した金額を現金で回収する事ができた。(決算は3月31日)
現金100/貸倒損失100
この仕訳を行う事で、無事売掛金の100円を回収出来た事になるので、最終的に
現金100/売掛金100
この仕訳だけ残り、貸倒損失は消滅します。
貸倒損失を計上した次期に返金があった場合
10月にA社が倒産して、売掛金を回収出来ないと判断してこちらの仕訳を行った。
貸倒損失100/売掛金100
ところが、翌年4月に貸倒損失で計上した金額を現金で回収する事ができた。(決算は3月31日)
先程のパターンと同じで金額を回収していますが、こちらは期をまたいでいます。
貸倒損失を計上したまま決算を迎えると、決算整理にて貸倒損失を費用として損益計算書に記載しています。
つまり、その時に発生した貸倒損失はもう過去の事として済ませています。
その状況で、過去の損失分を取り返しても存在しない貸倒損失を取り消す事ができません。
そのため、期をまたいで回収した場合は「償却債権取立益」という勘定科目を使用して仕訳をします。
現金100/償却債権取立益100
この償却債権取立益は収益として勘定します。
まとめ
貸倒引当金って始めて見ると、凄く難しそうなお金って感じがしますが、倒産などのリスクに備えた保険的なお金と思ってもらえば分かりやすいかと思います。
貸倒引当金も余裕でマスターしたゾ!
そんな簿記3級の勉強もある程度進んで自信のある方は、当ブログで作成した仕訳問題に挑戦してみて下さい。
本試験レベルなので、試験前の力試しにどうぞ。
今回はこの辺で…
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