どーも、ききです。
今回はクレーン・デリック運転手免許を取得する際の最初の壁である、「学科試験」対策として、学科試験の問題で良く出る問題について解説していきます。
なので、普段の仕事や家族サービスなどで忙しい方も多いと思うので、出来るだけ簡単に覚えられるよう、なるべく分かりやすく解説します。
また、今回は学科試験科目の「クレーンに関する知識」に限定して紹介します。他の科目はこちらからどうぞ(随時更新します
なるべく労力を押さえて少ない学習時間で合格を目指したい方向けの内容となっているので、受験される方は是非参考にしてみて下さい。
クレーンの学科試験の各項目についても過去に解説しているので、深堀したい方はこちらもご覧ください
※忙しくて中々記事作成できていませんが、いずれ全ての項目を完成させます(多分
過去問解説
ワイヤロープのより線
ワイヤロープのより方を表した図に関する次のAからDの組合せとして、適切なものは1~5のうちどれか。
1:A=普通Zより B=ラングSより C=普通Sより D=ラングZより
2:A=普通Zより B=ラングZより C=普通Sより D=ラングSより
3:A=ラングZより B=ラングSより C=普通Zより D=普通Sより
4:A=普通Sより B=ラングSより C=普通Zより D=ラングZより
5:A=ラングSより B=普通Zより C=ラングZより D=普通Sより
引用:安全衛生技術試験協会
ワイヤーロープの「より」はまず「普通」と「ラング」に分かれます。
「普通より」は、ワイヤロープのよりとストランドのよりの方向が反対なので、この図をぱっと見て中の線が縦線のようになっているものが「普通より」となり、「ラングより」は、ワイヤロープのよりとストランドのよりの方向が同一となっているので、この図をぱっと見た時に中の線が斜めの線のようになっているもの「ラングより」となります。
次の「Zより」と「Sより」は、非常に分かりやすく上から左から始まっているものが「Zより」で右から始まっているものが「Sより」となります。
つまり、Zを描くように巻いてあるものが「Zより」でSを描くように巻いてあるものが「Sより」となります。
このZよりとSよりは覚えやすいですが、普通よりとラングよりは結構忘れやすいです。
そのため「ラング」は斜めの部分が多いから斜めのより線と覚えましょう。
最悪、ZとSよりさえ分かれば選択肢は絞れるので、この2つだけはしっかり押さえておきましょう。
クレーンの機械要素
クレーンの機械要素に関する記述として、適切なものは次のうちどれか。
1:フランジ形たわみ軸継手は、流体を利用したたわみ軸継手で、二つの軸のずれや傾きの影響を緩和するために用いられる。
2:はすば歯車は、歯が軸につる巻状に斜めに切られており、平歯車より減速比を大きくできるが、動力の伝達にむらが多い。
3:ローラチェーン軸継手は、たわみ軸継手の一種で、2列のローラチェーンと2個のスプロケットから成り、ピンの抜き差しで両軸の連結及び分離が簡単にできる。
4:リーマボルトは、ボルト径が穴径よりわずかに小さく、取付け精度は良いが、横方向にせん断力を受けるため、構造部材の継手に用いることはできない。
5:歯車形軸継手は、外筒の内歯車と内筒の外歯車がかみ合う構造で、外歯車にはクラウニングが施してあるため、二つの軸のずれや傾きがあると円滑に動力を伝えることができない。
引用:安全衛生技術試験協会
全体的にこのような問題が多く、要は間違い探しのような感じで正しいものを選ぶ場合と間違っているものを選ぶ場合があります。
しかし、出題されるポイントは、ほとんど同じ部分を問われる事が多いので、一語一句覚える必要はなく、「この文章はここが出る」みたいな感じで覚えていきましょう。
1:フランジ形たわみ軸継手は、流体を利用したたわみ軸継手で、二つの軸のずれや傾きの影響を緩和するために用いられる。
ここは流体を利用したたわみ軸継手ではなく、ゴムなどで作った環を利用したたわみ軸継手となります。
イメージはこんな感じです。
引用:モノタロウ
2:はすば歯車は、歯が軸につる巻状に斜めに切られており、平歯車より減速比を大きくできるが、動力の伝達にむらが多い。
ここはむらが多いとよく出題されますが、正確には「むらが少ない」です。
4:リーマボルトは、ボルト径が穴径よりわずかに小さく、取付け精度は良いが、横方向にせん断力を受けるため、構造部材の継手に用いることはできない。
ここは穴径よりわずかに小さくとよく出題されますが、正しくは「わずかに大きい」です。
引用:モノタロウ
リーマボルトはこのようなボルトで、穴径より小さいと隙間ができるので、ダメですよね。うん。
5:歯車形軸継手は、外筒の内歯車と内筒の外歯車がかみ合う構造で、外歯車にはクラウニングが施してあるため、二つの軸のずれや傾きがあると円滑に動力を伝えることができない。
ここは円滑に動力を伝えることができないと出題されますが、正しくは「動力を伝えることができる」です。
ちなみにこの「クラウニング」とかいう聞きなれない謎の言葉は、こちらの引用文をご確認下さい。
クラウニングとは、主に機械工作関連で用いられる用語のひとつである。 自動車をはじめとした機械には様々な歯車(ギヤ)が採用されているが、この歯車の噛み合い具合をより良好なものにするため、平面部位に膨らみを持たせる加工(中高加工)などを施すというもの。
引用:goo-net
ってな訳で、この問題の正解は③となります。
クレーンのブレーキ
クレーンのブレーキに関する記述として、適切でないものは次のうちどれか。
1:つり上げ装置のブレーキの制動トルクの値は、定格荷重に相当する荷重の荷をつった場合における当該装置のトルクの値の150%以上に調整する。
2:バンドブレーキには、バンドを締め付けたときにバンドが平均して締まるように、バンドの外周にすき間を調整する摩擦パッドが配置されている。
3:ドラム形電磁ブレーキは、電磁石、リンク機構及びばねにより構成されており、電磁石の励磁を交流で行うものを交流電磁ブレーキ、直流で行うものを直流電磁ブレーキという。
4:電動油圧押上機ブレーキは、ばねにより制動を行い、油圧によって押上げ力を得て制動力を解除する。
5:足踏み油圧式ディスクブレーキは、油圧シリンダ、ブレーキピストン及びこれらをつなぐ配管などに油漏れや空気の混入があると、制動力が生じなくなることがある。
引用:安全衛生技術試験協会
この問題は適切ではないものを選ぶ問題なので、先程も伝えましたが、間違いを見つけるだけなので比較的楽な問題です。
2:バンドブレーキには、バンドを締め付けたときにバンドが平均して締まるように、バンドの外周にすき間を調整する摩擦パッドが配置されている。
ここはすき間を調整する摩擦パッドと良く出題されますが、正しくはすき間を調整する「ボルト」です。
このまま覚えれば問題ないのですが、こちらの画像が分かりやすいかと思います。
引用:CRANE-CLUB
とりあえずこの問題は②と分かりましたが、この問題では他の選択肢で問われる箇所があり、
1:つり上げ装置のブレーキの制動トルクの値は、定格荷重に相当する荷重の荷をつった場合における当該装置のトルクの値の150%以上に調整する。
ここの150%が「120%」として出題される事も多いです。
なので、良く分からなくてもとりあえず150%という数字だけ覚えておくだけで点が取れる可能性があるので、押さえておきましょう。
クレーンの給油、及び点検
クレーンの給油及び点検に関する記述として、適切でないものは次のうちどれか。
1:グリースの給油方法には、グリースカップ式、グリースガン式、集中給油式などがある。
2:グリースカップ式の給油方法は、グリースカップから一定の圧力で自動的にグリースが圧送されるので、給油の手間がかからない。
3:ワイヤロープは、シーブ通過による繰り返し曲げを受ける部分、ロープ端部の取付け部分などに重点を置いて点検する。
4:ワイヤロープには、摩耗や腐食を防ぐため、ロープ専用のグリースを塗布する。
5:集中給油式の給油方式は、ポンプから給油管、分配管及び分配弁を通じて、各給油箇所に一定量の給油を行う方式である。
引用:安全衛生技術試験協会
この問題でも間違い探しをするだけです。
2:グリースカップ式の給油方法は、グリースカップから一定の圧力で自動的にグリースが圧送されるので、給油の手間がかからない。
この文章の中で、給油の手間がかからないとありますが、実際は非常に「手間がかかります」
参考までにこちらの画像を確認して下さい。
引用:モノタロウ
このようなグリースガンと呼ばれる器具を使ってグリースを補充しますが、毎回取り付けてレバーをクリクリして注油しますが、全ての工程が手動なので文字通り手間がかかります。
ちなみに「集中給油式」はこちらの画像
引用:モノタロウ
あらかじめ給油する部分に接続されているので、レバーをクリクリするだけで注油できます。
更にエアー式であれば、エアーの力を使うので更に楽になります。
クレーンの種類、型式及び用途
クレーンの種類、型式及び用途に関する記述として、適切なものは次のうちどれか。
1:引込みクレーンには、水平引込みをさせるための機構により、ロープトロリ式及びマントロリ式などがある。
2:テルハは、走行、旋回及び起伏の運動を行うクレーンで、工場での材料や製品の運搬などに使用される。
3:屋外の架構上に設けられたランウェイのレール上を走行するクレーンは、天井クレーンと同じ構造及び形状のものであっても橋形クレーンという。
4:レードルクレーンは、埠頭においてコンテナを専用のつり具であるスプレッダでつり上げて、陸揚げ及び積込みを行うクレーンである。
5:クライミング式ジブクレーンのクライミング方法には、マストクライミング方式とフロアークライミング方式がある。
引用:安全衛生技術試験協会
まず、
1:引込みクレーンには、水平引込みをさせるための機構により、ロープトロリ式及びマントロリ式などがある。
引き込みクレーンについてはこちらをご覧ください。
引用:おべ工業株式会社
このようなクレーンが引き込みクレーンです。
良く屋外のコンテナ運搬などで活躍しています。
ちなみにトロリ式クレーンは
引用:大倉製作所
このようなクレーンで、主に工場などで荷の運搬で活躍しています。
写真を確認して分かったと思いますが、引き込みクレーンはトロリ式ではないので、問題文のロープトロリ式及びマントロリ式ではありません。
つまり、トロリ式とあるものは全て異なります。
引き込みクレーンに関してはこちらの引用から各種名称を確認して下さい。
荷を水平に引込む機構を持つジブ付クレーン.荷を水平に引き込む機構の種類によりダブルリンク式,スイングレバー式,ロープバランス式,テンションロープ式に分類される.
引用:機械工学辞典
2:テルハは、走行、旋回及び起伏の運動を行うクレーンで、工場での材料や製品の運搬などに使用される。
そもそもテルハの記述とは全く異なり、テルハは天井に取り付けられたレールであるI形鋼の下フランジに、電気ホイスト又は電動チェーンブロックをつり下げたクレーンで、荷の巻上げ、巻下げとレールに沿った横行のみを行います。
引用:労働新聞社
テルハは「横行するもの」と知っておけばすぐに分かるかと思います。
3:屋外の架構上に設けられたランウェイのレール上を走行するクレーンは、天井クレーンと同じ構造及び形状のものであっても橋形クレーンという。
この問題文もかなり頻出しているのでしっかり押さえましょう。
そもそも、ランウェイのレール上を走行するクレーンは例え屋外でも天井クレーンです。
橋形クレーンはこちら
引用:クレーンシステム株式会社
橋形クレーンは天井クレーンのクレーンガーダに脚部を設けたクレーンで、地上又は床上に設けたレール上を移動するものを指します。
つまり、天井クレーンとの違いは
- 脚がある
- 走行レールが地上又は床上にある
この2点があると押さえておけば問題ありません。
4:レードルクレーンは、埠頭においてコンテナを専用のつり具であるスプレッダでつり上げて、陸揚げ及び積込みを行うクレーンである。
この問題文の記述は「コンテナクレーン」の記述です。
レードルクレーンはあまり聞き馴染みがないかと思いますが、
引用:住友重機械搬送システム株式会社
レードルクレーンは、製鉄所の溶銑鍋、溶鋼鍋を取り扱うちょっと特殊なクレーンです。
他のクレーンと異なり、溶鉄鍋を吊り上げながら溶銑を流し込んだり、転炉で処理が終了した溶鍋を次の行程へ運んだりするために使用するので、製鉄所専用のクレーンといえます。
って訳でこの問題の適切な記述は➄となります。
クレーンのトロリ及び作動装置
クレーンのトロリ及び作動装置に関する記述として、適切なものは次のうちどれか。
1:ホイストは、電動機、減速装置、巻上げドラム、ブレーキなどを小型のケーシング内に収めたもので、巻上装置と走行装置が一体化されている。
2:巻上装置に主巻と補巻を設ける場合、一般に、主巻の巻上げ速度は、補巻より速い。
3:電動機、制動用ブレーキ、減速機、ドラムなどにより構成される巻上装置では、巻下げの際、荷により電動機が回されようとするので、荷による加速を防止するために、同じ電動機軸に速度制御用ブレーキを取り付け、速度の制御を行うものが多い。
4:天井クレーンの1電動機式走行装置は、片側のサドルに電動機と減速装置を備え、電動機側の走行車輪のみを駆動する。
5:ワイヤロープ式のホイストには、トップランニング式と呼ばれる普通形ホイストとサスペンション式と呼ばれるダブルレール形ホイストがある。
引用:安全衛生技術試験協会
1:ホイストは、電動機、減速装置、巻上げドラム、ブレーキなどを小型のケーシング内に収めたもので、巻上装置と走行装置が一体化されている。
ホイストはこのような形状となっています。
引用:モノタロウ
見て分かるかと思いますが、ホイストは巻上装置と横行装置が一体化しているものとなります。
2:巻上装置に主巻と補巻を設ける場合、一般に、主巻の巻上げ速度は、補巻より速い。
こちらに関しては、この知恵袋で解説されている方の文章が参考になります。
主巻:しゅまき 想定できる最大の重量を吊り上げられる吊り上げで、通常大きくて基調で高価 ですので、使用するのは少ない場合が多く巻き上げ速度は低い場合が多いです
補巻:ほまき 通常の機器移動用に持ちられ、利用頻度最大の重量で設計される例が多いです この為速度が重要な指標となります。通常主巻速度の倍から5倍程度が多い ようです。
引用:Yahoo!知恵袋
そのため、主巻の巻上げ速度は、補巻より遅くなります。
4:天井クレーンの1電動機式走行装置は、片側のサドルに電動機と減速装置を備え、電動機側の走行車輪のみを駆動する。
まずはこちらの画像をご確認下さい。
引用:CRANE-CLUB
画像を確認するとガーダーの中心部分に電動機や減速装置を備えており、駆動は走行長軸の両側に取付けているピニオンを回転させ、走行車輪のギヤを駆動させています。
つまり、片方ではなく両側の走行車輪を駆動させています。
5:ワイヤロープ式のホイストには、トップランニング式と呼ばれる普通形ホイストとサスペンション式と呼ばれるダブルレール形ホイストがある。
この記述は逆となっており、正しくはトップランニング式と呼ばれるダブルレール形ホイストとサスペンション式と呼ばれる普通形ホイストがある。となります。
よくある間違い探し系の問題ですが、覚え方としては、「業績トップなのに、毎朝ランニングさせられるのは普通じゃないぞこの会社!」となり、「ト(トップ)・フ(普通)」→「トウフ」→「豆腐じゃない」!!!(おれが食べたいのは
???
という事で、トップランニングは普通じゃないと覚えましょう(無理矢理
クレーンの運転時の取扱い方法及び注意事項
クレーンの運転時の取扱い方法及び注意事項に関する記述として、適切でないものは次のうちどれか。
1:インバーター制御のクレーンは、低速から高速まで無段階に精度の高い速度制御ができるので、インチング動作をせずに微速運転で位置を合わせることができる。
2:巻下げ過ぎ防止装置のないクレーンのフックを巻き下げ続けると、逆巻きになるおそれがある。
3:ジブクレーンで荷をつるときは、マストやジブのたわみにより作業半径が大きくなるので、定格荷重に近い質量の荷をつる場合には、当該つり荷の質量が、たわみにより大きくなったときの作業半径における定格荷重を超えないことを確認する。
4:停止時の荷振れを防止するために行う追いノッチは、移動を続けるつり荷が目標位置の少し手前まで来たときに移動の操作を一旦停止し、慣性で移動を続けるつり荷が振り切れた後、ホイストの真下に戻ってきたときに再び移動のスイッチを入れ、その直後に移動のスイッチを切り、つり荷を停止させる手順で行う。
5:無線操作方式のクレーンで、運転者自身が玉掛け作業を行うときは、制御器の操作スイッチなどへの接触による誤動作を防止するため、制御器の電源スイッチを切っておく。
引用:安全衛生技術試験協会
この問題も頻出している問題ですが、とりあえず誤りは④となります。
イメージとしては、例えば紐に5円を巻き付けてゆらゆら動かします(催眠術のように
このゆらゆら動いている5円を紐を持っている手で止めようとした時に、真下から揺れている方向に動いたタイミングで同じ方向に少し動かすと少しずつ揺れが収まってくるかと思います。
あとは逆方向でも同じように、真下から揺れている方向に少し動かすと、また収まってきて、最終的には止まると思います。
この原理がクレーン操作における「追いノッチ」で、実際に現場でクレーンを使う事になれば、毎日嫌ってくらいこの行動を繰り返すと思います。
学科試験とは関係ないですが、このクレーンの揺れ止めが走行と横行どちらでも出来るようになるのは、一つのポイントとなり、今後の自身の成長にもつながるので、是非頑張ってみて下さい(まだクレーンに乗ってすらないかと思いますが
まとめ
本当はまだ紹介したい問題が「クレーンに関する知識」だけでも山のようにあるのですが、一旦ここで止めておきます。
今後、時間のある時に更に問題を追加するので、受験される方はブックマークにでも保存しておいて下さい(時間があれば
あくまでも、学科試験よりも実技試験の方が明らかに重要ですが、まずは学科試験に受からないと話にならないので、しっかり対策をしていきましょう。
過去問についてはこちらのリンクのものがテキストと過去問が一緒になっているので、お得です。
ご確認下さい(正直過去問さえあれば受かる試験…
今回はこの辺で…
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