どーも、ききです。
クレーン・デリック免許(クレーン限定)の最後の項目である「クレーンの運転のために必要な力学に関する知識編」の時間がやってまいりました。
ここでは公式を覚える事が多いので、一番時間が掛かる科目ではありますが、頑張って覚えていきましょう。
前回の「原動機及び電気に関する知識」の続編ですが、遅くなり申し訳ありません(誰も待ってない
他の科目についてはこちらからどうぞ
合力
図のようにO点に同一平面上の三つの力P1、P2、P3が作用しているとき、これらの合力に最も近いものは1~5のうちどれか。
1:A 2:B 3:C 4:D 5:E
引用:安全衛生技術試験協会
合力を求める時はまず起点から2点を結んで、対角線上にある点を探します。
問題ではP1とP2とP3の3点の力点なので、まずはP1とP2の合力を探します。
P1とP2の対角線上にある点はA点になります。
イメージ的には平行四辺形を作る感じで探すと良いです。

次にこのA点とP3の合力を求めます。
このA点とP3の対角線上にある点はE点となり、答えは➄となります。

つり合っている荷の力
図のように天井クレーンで質量4tの荷をつるとき、Bの支点が支える力の値に最も近いものは1~5のうちどれか。
ただし、重力の加速度は9.8m/s2とし、クレーンガーダ、クラブトロリ及びワイヤロープの質量は考えないものとする。1:16kN 2:23kN 3:27kN 4:67kN 5:95kN
引用:安全衛生技術試験協会
この問題では左右がつり合っている点に注目して解いていきます。
まず、AとBにかかる力の合計値を求めます。
求め方は質量×加速度で求めます。
A+B=4,000×9.8=39,200N=39.2kN
となります。
この力が左右に掛かっていますが、左右がつり合っているので、こちらの式が成り立ちます。
A×10=B×7
この式に先程のA+B=39.2kNの式を変形させて代入します。
今回はBの力の値を求められているので、A=39.2-Bを代入します。
(39.2-B)×10=B×7
B=約23kN
って事で答えは②となります。
ちなみにこの問題の公式はまだ簡単な方なので油断しないで下さいね。

重力
次の文中の[ ]内に入れるAからCまでの語句の組合せとして、正しいものは1~5のうちどれか。
「水平面に置いてある物体が図に示すように傾いているとき、この物体の各部分に作用する[ A ]により生じている力の合力Wが重心Gに鉛直に作用し、回転の中心△を支点として、物体を[ B ]とする方向に[ C ]として働く。」
1:A=重力 B=元に戻そう C=モーメント
2:A=重力 B=倒そう C=遠心力
3:A=遠心力 B=倒そう C=モーメント
4:A=復元力 B=元に戻そう C=引張応力
5:A=復元力 B=元に戻そう C=向心力
引用:安全衛生技術試験協会
まず答えですが、
水平面に置いてある物体が図に示すように傾いているとき、この物体の各部分に作用する重力により生じている力の合力Wが重心Gに鉛直に作用し、回転の中心△を支点として、物体を元に戻そうとする方向にモーメントとして働きます。
重力によって下方向に力が生じているのは何となくイメージできるかと思いますが、仮に重心Gが支点を超えたら倒れます。
イメージ的には、目の前に箱を思い浮かべて、中心より手前であれば戻り、奥であれば倒れますが、その事を問題で問われています。
この問題は覚えるというよりはイメージする事が大事かと思います。
ちなみにモーメントとは
「モーメント」とは、支点にかかる力で物体を回転させる作用を指します。 力には、押したり引いたりする一方向のものとは別に「ねじる力」があります。 それが「モーメント」です。 呼び方は他にも、回転力、トルク、力の能率、回す力、ねじる力、などとも呼ばれています。
引用:conMaga
つまり、こーいう事です(丸投げ

摩擦力
物体に働く摩擦力に関する記述として、適切でないものは次のうちどれか。
1:他の物体に接触し、その接触面に沿う方向の力が作用している物体が静止しているとき、接触面に働いている摩擦力を静止摩擦力という。
2:静止摩擦係数をμ、物体の接触面に作用する垂直力をNとすれば、最大静止摩擦力Fは、F=μ×Nで求められる。
3:物体が他の物体に接触しながら運動しているときに働く摩擦力を、運動摩擦力という。
4:物体に働く運動摩擦力は、最大静止摩擦力より小さい。
5:円柱状の物体を動かす場合、転がり摩擦力は滑り摩擦力に比べると大きい。
引用:安全衛生技術試験協会
正解は⑤で円柱状の物体を動かす場合、転がり摩擦力は滑り摩擦力に比べると大きいのではなく非常に小さいです。
例を挙げると、ドラム缶などを押す場合と引く場合で比べると圧倒的に押す場合の方が楽かと思います。
この時に急に力を止めるとドラム缶は止まりますが、それが転がり摩擦力となります。
ちなみにこの問題の②の
「静止摩擦係数をμ、物体の接触面に作用する垂直力をNとすれば、最大静止摩擦力Fは、F=μ×Nで求められる。」
この公式は実際に数値を代入して解く問題も出題されるのでしっかり覚えておきましょう。
物体の運動
物体の運動に関する記述として、適切なものは次のうちどれか。
1:等速直線運動をしている物体の移動した距離をL、その移動に要した時間をTとすれば、その速さVは、V=L×Tで求められる。
2:物体が一定の加速度で加速し、その速度が10秒間に10m/sから35m/sになったときの加速度は、25m/s2である。
3:運動している物体には、外から力が作用しない限り、静止している状態に戻ろうとする性質があり、この性質を慣性という。
4:物体が円運動をしているとき、遠心力は、向心力に対して力の大きさが等しく方向が反対である。
5:運動している物体の運動の方向を変えるのに要する力は、物体の質量が小さいほど大きくなる。
引用:安全衛生技術試験協会
①の速さはV=L×TではなくL÷Tとなります。
これは恐らく小学校で習う「道のり、時間、速さ」の公式そのままなので、しっかり覚えておきましょう。

②の加速度の公式は速度の差÷時間で求めます。
10秒間に10m/sから35m/sなので
(35-10)÷10=2.5m/s2
となります。
この解き方は覚えておきましょう。
③の外から力が作用しない限り、静止している状態に戻ろうとする性質ではなく、同一の運動の状態を続けようとする性質があり、この性質を慣性といいます。
分かりやすい例でいうと、例えば電車が急停止すると進行方向に倒れますが、これは電車自体には停止するための力が加わっているのに対して、人の体には停止するための力が加わらず、走行中と同じ速度で進もうとしてしまう事が原因で起こります。
⑤の運動している物体の運動の方向を変えるのに要する力は、物体の質量が小さいほど大きくなるではなく、大きいほど大きくなります。
これはなんとなくイメージできるかと思いますが、重いものの方が動いているものを逆に動かす時はより大きな力が必要となります。
という事で答えは④となります。
張力
下記に掲げるAからCまでの図のとおり、同一形状で質量が異なる三つの荷を、それぞれ同じ長さの2本の玉掛け用ワイヤロープを用いて、それぞれ異なるつり角度でつり上げるとき、1本のワイヤロープにかかる張力の値が大きい順に並べたものは1~5のうちどれか。
ただし、いずれも荷の左右のつり合いは取れており、左右のワイヤロープの張力は同じとし、ワイヤロープの質量は考えないものとする。1:A B C
2:B A C
3:B C A
4:C B A
5:C A B
引用:安全衛生技術試験協会
この問題では張力の公式を覚えると同時に各つり角度ごとの張力係数を暗記しておく必要があります。

まず公式ですが
張力=質量÷本数×加速度×つり角度ごとの張力係数
となります。
つり角度ごとの張力係数ですが
30°・・・1.04
60°・・・1.16
90°・・・1.41
120°・・・2
となります。
これは全て覚えて下さい。
Aから順番に代入して解いていくと
A=3÷2×9.8×1.16=約17kN
B=4÷2×9.8×1.41=約28kN
C=2÷2×9.8×2=19.6kN
という訳でB>C>Aとなるので答えは③となります。
引張応力
天井から垂直につるした直径2cmの丸棒の先端に質量250㎏の荷をつり下げるとき、丸棒に生じる引張応力の値に最も近いものは1~5のうちどれか。
ただし、重力の加速度は9.8m/s2とし、丸棒の質量は考えないものとする。1:1N/mm2
2:2N/mm2
3:4N/mm2
4:8N/mm2
5:20N/mm2
この問題では引張応力の公式と別に断面積の公式を覚えておく必要があります。
また、問題文では直径がcmですが、答えはmmになっている点に注意しましょう。
引張応力の公式は
引張荷重÷断面積
となります。
荷重は最初の方で解説した
質量×加速度
で求めますが、断面積の公式は覚えていますか?
もちろん知ってますよね?
ん?

半径×半径×円周率です
…
…
…
大丈夫です、私も一瞬忘れていました(てへぺr
直径ではない点とmmに変換する点に注意してそれぞれ代入すると
(250×9.8)÷(10mm×10mm×3.14)=約8N/mm2
となるので、答えは④となります。
まとめ
相変わらずどの科目も似たような問題や使いまわしが多いので、繰り返し過去問を解く事がこの試験の一番の攻略となります。
今後問題数も随時増やしていくのでお待ちください(やっぱり待ってない
何度も伝えていますが、こちらの学科試験はクレーン免許の前哨戦のようなもので、メインは次の実技試験となります。
そのため、遅れないように確実に学科試験を合格して実技試験に備えましょう!
こちらのテキストは細かい内容と過去問もセットになっているので、オススメです。
今回はこの辺で…
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